Monthly Beans Magazine|2024年11月号 [vol.122]

2024.11.01
SHERE

現在発売中のコーヒー豆の情報や、特集記事、BDS発送カレンダーなどを掲載した毎月発行のmbm(Monthly Beans Magazine)。

2024年11月号の内容をご紹介いたします!

Short Story|
深煎りは素材の味を殺している、は本当か?

先月、10月23日発送のコーヒー定期便BDSに寄せて<浅煎りvs深煎り論争>について書かせていただいたのですが、文章量の都合上書ききれず、こちらに続きを。

それは、特に深煎りのコーヒーを否定するような場面で言われる、『深煎りは素材の味を殺している』という言説についてです。

確かに、浅煎りのコーヒーは深煎りに比べて、豆ごとのフレーバーや酸味の特徴がはっきりとわかりやすく現れ、それぞれの個性の違いを味わうというスペシャルティコーヒーの楽しみ方にフィットしていると思いますが、『深煎りは素材の味を殺している』というのは果たして本当なのでしょうか?

まずは、深煎りの味わいを構成する要素と、それらがどのように作られていくのか、について考えてみます。

コーヒー生豆の中には、香味成分の素になる多種多様な要素が含まれており、焙煎という工程を経ることによって成分変化が起きてコーヒーの味が形作られていきます。

特に焙煎工程のうちの”ハゼ”と呼ばれるタイミングから急激に成分変化が進みますが、まず最初に酸味を感じる香味成分が多くなっていきます。

このあたりで煎り止めると、一般的に浅煎りと呼ばれる焙煎度合いですね。

さらに焙煎を進めると、酸味成分は分解されていき、代わりに苦味成分が増加していきます、

浅煎りのコーヒーに見られるようなカラフルなフレーバーや酸味は深煎りになるにつれて失われていくので、『深煎りは素材の味を殺している』という言説に繋がってしまうわけですね。

それでは続いて、この深煎りコーヒーの味わいの主軸をなす”苦味”について、もう少し深掘りしてみましょう。

深煎りのコーヒーに感じる苦味は、食物が焦げてしまったときに生じる苦味と同じ、と考えられがちですが、実はそれが全てではありません。

コーヒーに感じる苦味には多様な成分が関係しており、その組み合わせと割合によって感じ方が変わります。

苦味成分として代表的なものが、クロロゲン酸類が焙煎によって分解されることで生じるクロロゲン酸ラクトン類と、ビニルカテコールオリゴマー。

クロロゲン酸ラクトン類には非常に多くの種類がありますが、それぞれ比較的弱めの苦味を生じます。

コーヒー生豆によって、素となるクロロゲン酸類の種類が異なりますので、その組み合わせによって複雑な苦味が生まれます。

つまり、一言で苦味と言っても決して単調ではなく、素材となる生豆に含まれる成分によって変わってくるということ。

そうなると、『深煎りは素材の味を殺している』という説は怪しくなってきましたね?

ただ、このクロロゲン酸ラクトン類は中煎り〜深煎りにかけて増加し、以降は分解されてしまいます。

代わりに増加してくるのがビニルカテコールオリゴマー。この物質は単調で強い苦味を示し、どの生豆でも比較的近しい味わいになります。

なので、ある程度以上まで深煎りにしてしまうと、素材の味を殺しているというのも一理あるかもしれません。

焙煎はあくまでコーヒー生豆の成分変化を起こすための工程。

大切なのは元の生豆にどういう要素が入っているか、ということなので、その違いによってコーヒーの味わいの多様性が生まれてくるわけです。

程度の差こそあれ、そのことは浅煎りでも深煎りでも変わらないはず。

個人的には、『深煎りは素材の味を殺している』という言説は、いささか乱暴すぎるのでは、と思った次第です。

苦味だけについて考えてもそうなので、質感や香りについてまで考察を広げると、もっと話が長くなりそうなのでこの辺でやめておきましょう。

いずれにせよ、コーヒーに対して優劣をつけるのは立場や見方によって都度変わる話ですので、すべてのコーヒーを尊重して楽しめるといいですね。

Feature|
アドベントカレンダー&Xmas Gift Box発売!

今年のクリスマスは、THE COFFEESHOPのアドベントカレンダーでクリスマスまでのカウントダウンを楽しんでみませんか?また特別なクリスマスギフトには、クッキー缶とスペシャルティコーヒーがセットになったXmas Gift Boxをご用意しました。

発売日は各種SNS、WEB MAGAZINEでお知らせします。

ADVENT CALENDER 2024

24種類のシングルオリジンが楽しめる、THE COFFEESHOPのアドベントカレンダー。専用のケースに入った24個のコーヒーは、12月1日から24日まで、1日1個ずつ、クリスマスまでのカウントダウンを楽しみながら飲めるセットになっています。最後の23日、24日はプレミアムクロップ!コーヒーの詳細は12月1日よりInstagramで公開。

XMAS GIFT BOX

クリスマス当日の特別なギフトには、Xmas Gift Box。毎年ご好評いただいているTHE COFFEESHOPオリジナルのクッキー缶。今年はフルーツのテーマでご用意しました。12月限定のDecember Mix(またはデカフェ)をセットにしてお届けします。コーヒーは豆のままかドリップバッグからお選びいただけます。特別なクリスマスのおともにぜひ。

The Monthly Beans Line Up|
今月のコーヒー豆ラインナップ

Information|
渋谷区富ヶ谷の焙煎所 ROAST WORKS 11周年!

おかげさまで ROAST WORKS は2024年11月8日で11周年を迎えます!これもひとえに皆様のご愛顧とご支援によるものと感謝しております。日頃の感謝の気持ちを込めて、感謝イベントを開催いたします!ぜひチェックをお願いいたします!

ROAST WORKS店頭のみ

11月16日(土)・17日(日)

コーヒー豆50%OFF、特別ロットの発売(数量限定)

ONLINE SHOP

11月8日(金)〜税込1,000円以上お買い上げで、先着50名様にドリップバッグプレゼント!

Beans Delivery Service

11月6日(水)発送分のコーヒー定期便に、ドリップバッグを1個プレゼント!

Pick up Movie|
【紙のニオイを取る】 ペーパーリンスの湯温によって、コーヒーの味が変わる?!

以前ペーパーリンスをするか・しないかで検証を行い、動画を公開しました。

そもそも〈紙の匂いを取る〉ことが目的のペーパーリンスですが、湯温の差で紙の匂いの取れ方に違いがあるのか気になり検証を用意しました。ぜひご覧ください!

Calendar|
今月のカレンダー

Next mbm|
次号発行予定

次回2024年12月号は12月1日発行を予定しております。お楽しみに!

それではみなさま、良いコーヒーライフを!

mbmは店頭やオンラインストアで商品をご購入の際に無料でお入れしております。ぜひゲットしてくださいね!

WRITER

THE COFFEESHOP

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