ペーパーフィルターの違いでコーヒーの味は変わるのか|HARIO V60・CAFEC アバカ Coffee Filterを比較

2024.10.14
SHERE

ドリッパーの純正品だけでなく、様々な種類が発売されているペーパーフィルター。

器具の付属品というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

たくさんの種類が販売されているとういことは、出来上がりのコーヒーに味の違いがでるはず…

そんなコメントをいただいたので、今回はHARIO V60 02 ドリッパーの純正品〈HARIO V60 Paper Filter〉と、同じ2〜4杯用フィルターとして販売されている〈CAFEC アバカ Coffee Filter〉を使って抽出検証を行いました!

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。 詳しくは THE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channelをご確認ください。

コーヒーのペーパーフィルターそれぞれの特徴|HARIO V60・CAFEC アバカ Coffee Filter

『ペーパーフィルターの種類ってサイズや色以外に何が違うの?』という方もいらっしゃると思うので、まずはそれぞれの特徴をご紹介します。

ペーパーフィルターの違いで各社の個性がまず大きく現れる部分は〈クレープ加工〉という技術です。

このクレープ加工は、フィルターの表面に施された凹凸加工のことで、その高低差・密度によりお湯抜けの速さが違ってきます。

一般的にクレープ加工の高低差があるものの方が、透過(お湯抜け)のスピードが速いとされていますが、このクレープ加工がフィルターの内側・外側どちらに施されているのかでも、結果が変わるのが興味深い点です。

では、検証で使用する2種類のペーパーフィルターをそれぞれご紹介します!

  • 外側に凹凸加工。内側はツルツルしています。

〈HARIO V60 Paper Filter〉

・フィルターの外側のみにクレープ加工が施されている

・凹凸の高低差は低く、密度は高い印象

・フィルターの接着面が太く、厚めなのでドリッパーで2重になる部分の面積が広い

日本を代表するコーヒーツールメーカー:HARIOの純正品です。

フィルターの外側にクレープ加工を施す目的は、毛細血管現象を利用した透過スピードの促進。

ドリッパーとフィルターとの間に空気の層を作ることで、よりお湯を引っ張る力が強まり、スピードが速くなるといいます。

  • 両面にクレープ加工が施されており、それぞれ密度と高低差に若干差があります。

〈CAFEC アバカ Coffee Filter〉

・クレープ加工がフィルターの内側と外側の両面に施されている

・凹凸に高低差があり、密度はそこまで高くない印象

・フィルターの接着面が細く、ドリッパーで2重になる部分の面積が少ない

一番の大きな特徴は、CAFEC独自の〈両面クレープ加工〉。

従来の片面にしかなかったクレープ加工をフィルターの両面に施すことで、抽出前半・後半ともにお湯抜けが一定のスピードを保てるよう工夫されています。

目視での確認にはなりますが、内側と外側のクレープ加工高低差に若干の差を感じました。

外側の加工の方が高低差があり、くぼみ部分がクレーターのような見た目になっています。

検証のための抽出レシピ

では、同じコーヒー豆・同じ分量・同じ抽出時間で、出来上がったコーヒーの味に違いがあるのか、確認していきます。

今回の検証では、浅煎りのRwanda / Dukunde Kawa Nkara Lot 0104を使用しました。

お茶のように楽しめる軽やかなフレーバーと、甘さのあるコーヒーです。

検証用抽出レシピ

・粉:15.5g(中細挽き)タイムモアC2:22|タイムモアC3:16 程度

・お湯:250ml(88℃)

・器具:HARIO浸漬式ドリッパー スイッチ

0'00"〜0'30" スイッチを上げた状態でお湯を全量注ぐ

1'45"になったらスイッチを下げてお湯を透過し、落ち切るまで待つ

検証結果|抽出時間の違いとコーヒーの味への影響

〈HARIO V60 Paper Filterの結果〉

前半は透過スピードが速く、スムーズにお湯が抜けていきましたが、後半になるにつれて詰まり気味になりました。

落ち切り時間:3分17秒

ブラウンシュガーのような甘さがしっかりあり、アーシー・ココアなど少し香ばしい味わいで終わるコーヒーです。

浅煎りの酸味というよりは、比較的甘さとしっかりしたボディ感のある仕上がりになりました。

カップコメントの緑茶よりは、後味の印象と付随して棒茶のような香ばしいお茶のイメージがあります。

アフターテイストが、香ばしいフレーバーの印象で終わるため、全体的に味わいはしっかり目に感じました。

〈CAFEC アバカ Coffee Filter〉

透過前半のスピードが速く、後半になってもお湯抜けがスムーズでした。

HARIO V60に比べて後半に失速しなかったため、落ち切り時間が速くなったのだと思います。

落ち切り時間:3分7秒

甘さの軸があることは同じでしたが、後味はマンダリンのような明るい印象で終わるコーヒーに仕上がりました。

カップコメントにある緑茶の雰囲気も感じられ、ルワンダらしいジューシーな味わい。

カップから感じる香りは爽やかさもありますが、ややアーシーな印象を持ちます。

純正フィルターに比べ爽やかさはあるものの、フレーバーは弱めに感じました。

検証結果を踏まえての所感

お湯の落ちきりが10秒程度違っていることと、両面クレープ加工の有無(間隔や高低差も)・接着面の太さが味の違いを生んだのではないかと思います。

抽出前に湯通し後のお湯を飲んだ時はそこまで大きな味の違いがなかったため、紙の素材による違いではないと考えられます。

構造の違いがここまで味に影響するのは興味深い結果です。

そもそも、各ペーパーフィルターの開発背景が違い、HARIO V60は自宅でネルドリップの味わいを再現することが目的のドリッパーのため、それに合わせた純正品である、HARIO V60 Paper Filterがしっかり目の味になったことも納得いくかなと思いました。

ペーパーフィルター|どれがおすすめ?

同じ形状であっても、お湯抜けのスピードに差があることがわかりました。

上記の結果の通り、お湯抜けの差は最終的な抽出完了の時間にも影響します。

今回の検証条件と結果では、落ち着いた味わいでしっかりしたボディ感などを楽しみたい時は〈HARIO V60 Paper Filter〉、爽やかなフレーバーや軽やかさを楽しみたい時、お湯を注ぐスピードで味を変化させてみたい方には〈CAFEC アバカ Coffee Filter〉がおすすめです。

どちらも500円程度で購入できますので、普段浅煎り〜深煎りまで飲まれる方は、ストックしておくのもいいかもしれません。

ペーパーフィルターの使い分けで、よりお家コーヒーを楽しんでください!

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WRITER

Mayuka Jimbo

THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。

富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。

毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!

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