【紙臭さを消す】ペーパードリップ時のリンス(湯通し)に最適なお湯の温度。水ではダメなのか?
コーヒーの抽出で馴染みのある〈ペーパーフィルター〉ですが、皆さん抽出前の湯通しはどうしていますか?
湯通し必須!という方も、そんなに気にしてないしそもそも必要なの?という方もいらっしゃると思います。
リンスのあり・なしでの検証は以前行っているので、今回はペーパーリンスの『湯温』に着目してみました。
水ではダメなのか?という疑問にもお答えしていきます。
こちらの内容は公式YouTubeでも公開中ですので、ぜひ合わせてご覧ください!
ペーパーフィルターをリンス(湯通し)する意味は「紙の臭い取り」と「抽出の安定性」
そもそもペーパーフィルターをリンスする目的は〈紙の匂いを落とす〉ということです。
使用している原材料や、加工技術にもよりますが、メーカーによってはどうしても紙独特の匂いがあり、コーヒーの味に影響がでやすいため、抽出前にお湯をかけることで匂いを取ることが一般的。
近年は、NANA Competition Wave Filters のようにフィルターリンス不要の商品などが登場しており、紙の匂いがある程度コーヒーの味に影響を与えるということが、ブリュワー間での共通認識でもあります。
フィルターを2種類使用した湯通しに関する検証は、下記動画もご参考ください!
また、フィルターリンスのもう一つの役割は、〈抽出の安定性〉を確保することです。
コーヒーの抽出、特にハンドドリップやエアロプレスにおいては、抽出環境をできるだけ一定に整えることで、毎回同じ味わい・安定した美味しいコーヒーの抽出を目指すことが重要です。
フィルターリンスを行うことで、ドリッパーやサーバーも同時に保温することができ、抽出中の温度変化を極力少なくすることができますが、逆にフィルターが濡れることで、粉を入れるタイミングによっては抽出環境に変化が生まれてしまうため、(フィルターに残っているお湯と粉が触れることで抽出が始まってしまう)フィルターリンスは行わないというブリュワーも多いです。
どちらかが間違っているということではなく、あくまで抽出環境を一定に整えることを目的としているので、リンスのあり・なしは個人の感覚で決めていただいてもいいかもしれません。
ただ、紙の匂いは無視できないことと、ドリッパーとフィルターの張り付きをきちんと確保するためにも、個人的にはフィルターリンスありをおすすめします。
水からお湯まで 3種類の温度帯で検証
今までリンスのあり・なしに注目していましたが、ペーパーリンスに使用する湯温で味に影響があるのか、確認していこうと思います。
今回は、『常温(水)・60℃・沸かしたて』の3つの温度帯でリンスを行っていきます!
リンス後の水を飲み比べてみましたが、温度帯による味の違いははっきりありませんでした。
検証内容
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〈用意するもの〉
・HARIO 浸漬式ドリッパーSwitch
・Abaca Coffee Paper Filter
・湯通し用のお湯:150gずつ(水・60℃・沸かしたて)
・コーヒー豆:18g(中挽き)
・抽出用のお湯:250ml(92℃)
〈検証方法〉
①ドリッパーにフィルターをセットし、各温度帯ごとに湯通しをする
②サーバーとドリッパーが3つとも同じような温度になったことを確認し、コーヒーを抽出する
0'00"〜0'25" 250mlのお湯をスイッチが上がった状態で注ぐ
2'00"になったらスイッチを下げて透過し、落ちきるまで待つ
2'00"で透過開始した時に、明らかに水でリンスしたフィルターは落ち切りが遅く、20秒程度の差がありました。
ではそれぞれのコーヒーの味わいに変化がでたのか見ていきましょう!
①水でリンスしたペーパーフィルターで抽出した場合
落ち切り時間は約3分程度でした。
フレーバーや酸味の印象が3つの中で一番低く、抽出時間が一番長かったのに未抽出のような味わいになりました。
液体としての口当たりは粘度を感じるような重さがありましたが、味が薄い印象です。
②60℃でリンスしたペーパーフィルターで抽出した場合
落ち切り時間は約2分45秒で、15秒ほど短くなりました。
甘さの印象が①よりも圧倒的に強く、より抽出の進んでいる味わいに感じます。
口当たりは①より軽やかですが、甘さをより強く感じたため、後味も長く感じます。全体的にしっかりしたコーヒーに仕上がりました。
③沸かしたてでリンスしたペーパーフィルターで抽出した場合
落ち切り時間は2分45秒から50秒程度。
②のコーヒーと大きな差はあまり感じませんが、口当たりがよりさらりとした仕上がりになっています。
水>60℃>沸かしたてのような順で口当たりが軽くなる印象を持ちました。
水はペーパーリンスに不向き!抽出時と同じ湯温でのリンスがおすすめ
今回の検証の結果では、水はペーパーリンスに不向きという結果になりました。
抽出時間が長い割には味が薄い印象だったため、抽出効率が悪く、レシピの組み立て以前に抽出環境としておすすめしません。
逆に60℃と沸かしたてのお湯でリンスした場合、水ほど大きな違いが生まれなかったため、40℃程度の温度差があったとしても味に影響が少ないと言えます。
上記の抽出条件では、60℃リンスが一番適正に抽出できましたが、コーヒーの抽出のために毎回60℃のお湯を用意するのは大変なので、抽出用に沸かした90〜94℃程度のお湯が、ペーパーリンスには有効ではないかと思いました。
THE COFFEESHOP OFFICIAL YouTube Channel
今回ご紹介した、ペーパーリンスの検証動画はもちろん、抽出をリアルタイムで見れる”Brew Timer”や、最新コーヒー器具の紹介なども随時公開中です!
ぜひ高評価とチャンネル登録をよろしくお願いします!
WRITER
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Mayuka Jimbo
THE COFFEESHOPバリスタ・ストアサブマネージャー。
富ヶ谷のロースタリーROAST WORKSにてドリンクを提供。フードペアリング担当。レシピの改善や、抽出技術の向上に日々取り組んでいる。
毎週日曜8:45〜はInstagramとYouTubeで15分間のライブ配信中!
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